■ STORY ■

白鳥の湖
(真夏の夜の夢)


ある晩、不思議な夢を見た。山奥の湖で釣り糸を垂れていると、白鳥が飛来して、スイスイ泳ぎはじめた。美しい舞に、胸がときめいた。 幾重にも波紋を描きながらクルクルと回転し、やがて白鳥は女の子に姿を変えた。予期せぬ出来事に、かたずを呑んで見守った。 強い意志をたたえた大きな瞳が潤むころ、少女は、そっとトゥシューズの紐を解き始めた。それは白鳥に戻る瞬間でもあった。

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