唯我独尊Q&A編
第7回


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「いい写真」と「売れる写真」の違いを教えてください。(大阪府・34才・自営業)


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なかなか鋭い質問です。 というのは「いい写真」と「売れる写真」とは、まったく違う場合が多いからです。 ほとんど売れないけれど「いい写真」というのを知りたかったら、カメラ雑誌のフォトコンテストの入賞作品を見れば一目瞭然です。

もっとわかりやすく言えば、プロ、アマ問わず、撮り手が自分の個性を存分に表現したものは「いい写真」です。 もちろん、そのためには確かな表現力を支えるためのテクニックが必要となってきます。 だからフォトコンテストで活躍するハイアマチュアには、プロ顔負けのテクニシャンが多いのも事実です。

テクニックそのものを見る限り、アマチュアがプロよりも劣っているということはありません。
いや、おカネと時間を、いくらでも注ぎ込めるアマチュアのほうが、場合によっては有利です。 すごい作品を発表することだって、決して不可能ではありません。

では「売れる写真」とは一体どんなものをいうのでしょうか。 実は「いい写真」とは正反対に、写真を見る人の気持ちを考えて撮ったもののことをいいます。

つまり「売れる写真」とはカメラマンの「撮る喜び」ではなく、写真を見る人の「見る喜び」を最優先して制作した写真のことを指すのです。 トッププロはシャイな人が多いので、ほめられるたびに「好き勝手に撮っただけです」「自分が気持ちよければ、写真を見る人も気持ちいいはず…」などと、さらりと言ってのけますが、これは彼一流の謙遜です。

あくまでも写真を見る人の視点に立って撮るというのが「売れる写真」の条件です。写真そのものの芸術性が高かろうと、低かろうと、そんなものは全然関係ないのです。

かつてはヘアヌードという言葉そのものが珍しく、いかにモデルが無名でも、それだけで写真集が飛ぶように売れた時代がありました。 しかしニッポンじゅう露出過多で、巷に裏ビデオが氾濫している現在では、それだけでは注目を浴びなくなりました。

「売れる写真」にこだわるならば、例えば若い女性のヘアヌードだったら、ヘアのあたりが美しくボケている写真よりも、一本一本ヘアがわかるほど鮮明に写っていたほうが刺激的で、より若い男性に好まれます。
皮肉なことに、美しい写真を追求していくと、結果的には売れない写真に辿り着いてしまうのが現実のようです。

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