プロカメラマン への

写真のテクニックから人生相談にいたるまで、柳沢雅彦が読者のさまざまな質問に答える好評のシリーズ企画「新・プロカメラマンへの道~唯我独尊Q&A編」は、 7月10日更新の「特別編」をもちまして一時中断させていただきます。 なお引き続き、読者の皆様からの質問は こちらのページ で受け付けております。 お寄せいただいた質問については、今後は短期集中連載という形で取り上げさせていただきます。

Q5 「これはオレの写真だ。文句あっか!?」 バックナンバーはこちらのページからどうぞ

友だちにカメラを渡して自分の写真を撮ってもらいました。 なかなか、いい写真になったのでフォトコンテストに応募しようと思いましたが、友だちが「僕がシャッターを押したのだから、僕の作品だ」と言い張ります。 この場合、フォトコンテストでは誰の作品と見なされるのですか?
__ (埼玉県・16才・高校生)

はっきり言って難しい質問です。ひとことで答えられないくらい難しい。 なぜならば、いくらでも解釈ができるからです。 もしフォトコンテストで金賞などを射止めて脚光を浴びると、問題は一層ややっこしくなります。

本来だったら、シャッターを押した人には「著作権」があり、モデルになった人には「肖像権」があります。 ところがキミの場合はモデルとしての肖像権ではなく、自分がカメラを渡して撮ってもらったのだから「著作権」があると主張しているわけですよね。

もし回答者が天才アラーキーこと荒木経惟さんだったら「オレのカメラを(アシスタントに)渡してシャッターを押させたのだから、オレの作品だ!」と、いかにも写真の神様らしく自信たっぷりに言い放つでしょう。 私は荒木さんの写真の凄さを十分に知り尽くしていますから、いかにも彼らしいと納得しますが、 もちろん、そんな論理はおかしいと首をかしげる人も大勢います。

キミの場合は、シャッターを押す段階で、どういう話になっていたかということです。 もしかしたらカメラを渡された相手は、自分なりに腕によりをかけて傑作を撮ろうと思っていたのかもしれません。 旅先などでカップルに「ちょっとシャッター押してもらえませんか?」と頼まれたときなど、みんな適当に済ませていますが、あなたの友だちは美的センスに優れ、絶大な自信を持っているのかもしれません。

もし最初からフォトコンテスト狙いだったら、そのことを相手に伝え、共同制作のアシスタントになってほしいと頼むべきでした。 そして「もし入賞して賞金がもらえたら、2人で仲良く山分けしようね」などと話し合っておくべきでした。 いい写真が撮れるとは夢にも思わなかったのならば、やはり期待以上の写真を撮ってくれた友だちの力でしょう。 フォトコンテストくらいで大切な友だちを失うようなことはしたくないものです。

ちなみに私の場合、後になって面倒なことにならないように、セルフタイマーやリモコンなどを使って、できるだけ自分ひとりで「自画像」を撮ることにしています。 うちにはアシスタントが4人いますが、彼らに撮ってもらう私の写真は雑誌などにプロフィールとともに掲載される顔写真のみです。






連載第6回 「カメラ壊れて観客席でドロ試合!?」 もぜひご覧ください




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